「卒業」 中学三年 板東 龍豪
僕は十三年間補習校へ通いました。
四年間、留年したわけではありません。四つ上の兄がいるので父にくっついて二才の時から補習校に来ていたからです。
家では教科書を音読する母や兄、姉の声がBGMでした。時には父や母がプンプンとおこる声も混じっていました。そして僕にとって兄や姉の教科書やノート、色々な文房具はどれも魅力的で自分も一年生になったらそろえてももらえるのが待ち遠しかったです。
九年前の入学式の日、今より四十センチ背の低い六才の僕はランドセルを背負い、わくわくしながら階段を上っていったことを覚えています。そして始まった僕の本当の補習校。
九九を習って計算が速く出来るようになった事、三角定規や分度器、コンパスを使って図形を描く事、一つのテーマにそってみんなで考えを出し合ったり、物語の配役を決めて音読したり、習字の特別授業など沢山の新しい事をクラスメイトと一緒に学んでいく事が楽しかったです。
ただ宿題となると一人でやるのでなかなかやる気が出ず、出来ないと涙が出てきたり、くやしくてエンピツでマットに穴をあけてしまった事もありました。
僕が初めて日にちをまたいで起きていたのは、小学校三年生の時の宿題の「じゃがいも」について調べるラストスパートをかけていた日でした。何回も顔を洗って、あめを食べ、頭に糖分を補給し、仕上げた宿題を健先生やみんなが見てくれた時はうれしかったです。
他にもバス酔いとの戦いから始まる遠足、つきたてもちのとりこになったもちつき大会、コロナ禍真っ只中に行われた小学校の卒業式・・・。
そして最後になりましたが、楽しくわかりやすい授業を心がけてくださった先生方、登下校、休み時間に僕達の安全を見守って下さった保護者の方々、補習校へ通わせてくれた父と母へ
九年間 ありがとうございました。
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